レポート:「SDGs時代のダイバーシティ『留学生』の実態」 -外国人政策勉強会22(2018年3月17日)


第22回外国人政策勉強会レポート「SDGs時代のダイバーシティ『留学生』の実態」

第22回外国人政策勉強会(EDAS主催、ランゲージワン後援)を、3月17日(土)14時から東京・赤坂にあるYahoo! LODGE(ヤフーのコワーキングスペース)をお借りして開催しました。テーマは「SDGs時代のダイバーシティ『留学生』の実態」。

司会はEDASメンバーの阿久津大輔と星野珠枝がつとめました。

(司会の阿久津・星野)

◆ごあいさつ

本勉強会を主宰するEDAS理事の高橋恵介が、勉強会開催の趣旨とこれまで取り上げたテーマについてご説明しました。

勉強会主宰の高橋よりご挨拶

◆講師:中村拓海氏について

高橋より、講師の中村拓海氏(ソーシャライズ 代表取締役)をご紹介し、いよいよ講演がスタート。株式会社ソーシャライズ代表取締役社長の中村拓海氏は、東京外国語大学でウルドゥー語(パキスタンの公用語)を専攻し、在学中にソーシャライズを起業されました。高度外国人材・留学生スカウティングサイト『Worldot (ワールドット)』を展開する傍ら、人材紹介や採用・育成・企業のマネジメントに対するコンサルティングなどを行っておられます。母校の東京外国語大学では留学生専任キャリアアドバイザーを務め、同窓会(東京外語会)の最年少理事として、就職支援委員・事業委員もされています。


中村 拓海(なかむら たくみ)氏
株式会社ソーシャライズ代表取締役社長。
ソーシャライズはsocialとrise(昇る)の造語。1990年生まれ。2015年7月にグローバル人材に特化したマッチングサービス“Worldot”をスタートさせる。日本語、英語のほか、ウルドゥー語、ヒンディー語、インドネシア語、ベトナム語などを駆使し、留学生のコーチングを行っている。

◆今回のテーマ

今回の外国人政策勉強会は「SDGs時代のダイバーシティ 『留学生』の実態」。国連が提唱するSDGs(Sustainable Development Goals=持続的な開発・発展目標)は、企業に対してもインクルージョン&ダイバーシティ(多様性)を求めています。訪日、在留、定・永住外国人が急速に増加する現在、日本人と異なる価値観や文化をもつ外国人を積極的に受け入れることが、島国ニッポンの内なる国際化、国内のグローバライゼーションに大きな意味をもつことは間違いありません。


※国際連合広報センター
http://www.unic.or.jp/files/UN-Guidelines-for-Use-of-SDG-logo-and-17-icons-December-2017_JP.pdf

日本に関心をもち、留学目的で来日し、その後日本で働くことを希望する人が、就職先を見つけることができないという問題もあります。日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、日本で就職する留学生(※)は、35パーセントにとどまるそうです(平成27年)。※大学・大学院のほか、短期大学、高等専門学校、専修学校等を含む

この中には、日本での就職を切望しつつ、働き口が見つからずに帰国するかなりの人数が含まれます。留学生の就職紹介を事業とする中村社長に、留学生の就職を取り巻く環境についてお話していただくとともに、参加者と留学生が本音で話し合うワークショップを開いていただきました。

◆第1部 中村社長ご講演

日本企業の多くがグローバルに事業展開し、中には世界のリーディングカンパニーであり、ダイバーシティの重視を謳っていますが、ご自身が就職活動をした結果、その実情に違和感をおぼえたというのです。TOEICができるとグローバルというのは正しい認識なのか?一方、優秀な留学生でも日本企業に就職できないことがあり、「グローバル」なはずの日本企業が、日本国内で勉強した留学生すら十分に受け入れられない。これは大変にもったいない話だと考えたそうです。日本での就労を望む優秀な留学生が企業で職を見つけることができる社会、日本企業が身近に存在する留学生というグローバル人材を当たり前のように採用する社会を実現するために、ソーシャル(Social)とライズ(Rise=昇る)を組み合わせて事業をスタートしたとのこと。

次に、日本のあらゆる産業で外国人依存度が上昇中という資料を見せていただきました。データによれば、2009年から2016年の間に、依存度は3倍以上増加したそうです。中村社長は、グローバル化は好むと好まざるとにかかわらずやってくる。日本の未来を創るのは、日本国籍保有者や日本文化で育った人に限定する理由はないと強調。大きな変化を日本で、そして日本からもたらすなら、地球上のあちこちから日本に集まる留学生こそが適任者だという主張には、参加者の多くが共感した様子でした。

・留学生も参加

今回の勉強会には、中村社長のお声かけで13人の留学生も参加しました。他にも外国人参加者が加わり、まさにダイバーシティを地で行くような場が作られました。

(留学生の参加者紹介)

◆第2部 ディスカッション

第2部では、中村社長のファシリテーションのもと、テーブルに分かれて『日本社会におけるダイバーシティ実現のため、今存在している課題を設定し、その解決策を提示してください。』というテーマで、留学生と日本語で語り合うワークショップを行いました。

日本は、聖徳太子(厩戸王)以来「和を以て貴しと為す」ということで他人との調和を大事にしてきました。ここで言う「和」とは、人と人が関わる際に、体裁を取り繕うのではなく、お互いに意見を言い合い理解しあう考え方もあるのだそうです。また新渡戸稲造の「武士道」のまえがきの一節から、One who speaks in a borrowed tongue should be thankful if he can just make himself intelligible. (わからないこと、通じ合えないことへの不満より、分かりあおうとする努力と通じ合えたことへの感謝を)が紹介されました。

まずは各テーブルでの自己紹介からスタート。日本人と留学生(当然「外国人」なわけです)が同じテーブルを囲んで話す機会はそれほど多くないのか、最初は少し緊張気味でしたが、慣れてくるに従いどんどん盛り上がります。

このワークショップでは、以下のふたつのルールが決められました。
ルール1 議論と意志決定はテーブルの全員で行う。
ルール2 白熱してもいいが、後腐れないようにする。

途中でテーブルをシャッフルし、語り合いは続きます。声も大きくなって、留学生も日ごろ感じることをたくさん語ります。


(討議風景)

最後にテーブルごとに課題とその解決策を発表してワークショップは終了しました。外国人がいなくてもやっていけると思いがちだが、(これからはそれでは立ち行かなくなるので)、例えば英語で話さなければとか、外国人と一緒に働かなければならないといった環境をつくることも大切ではという指摘もありました。子どもの頃から国際交流的な教育を提供することで、自然とダイバーシティを身に着けさせるとよいのではという意見には、うなずく人も多くおられました。30代、40代の人のコミュニケーション能力を高めて、もっと気軽で簡単に人に話しかけられるようにすると良いのではというインドネシア人参加者からの指摘も、日ごろの彼ら/彼女らの置かれた環境での「あるある」が垣間見られて興味深く感じました。このほか、Facebookの外国人の友達数を「外国人スコア」として評価して、高い人は転職に有利など面白いアイデアも披露されました。


(発表風景)

◆写真撮影と懇親会

全員で記念写真を撮影後、会場で懇親会を実施しました。

(全員で記念撮影)


(懇親会風景)

◆EDASホームページとFacebook「外国人政策勉強会」コミュニティのご案内
参加者の皆さんには、EDASのチラシを配布しましたが、併せてEDASのホームページからの入会方法、Facebookの「外国人政策勉強会」のコミュニティをご案内しました。URLは以下のとおり。「参加する・支援する」から入会申し込みができます。

・EDASホームページURL
https://www.edas.asia/

・Facebook
https://www.facebook.com/iminseisaku/

◆協賛企業:ランゲージワン株式会社様について
リモート(コールセンター型)多言語通訳サービスのトップ企業のひとつであるランゲージワン様は、世界中の人々を一つにつなぐお手伝いをすることで豊かな社会を創出することを経営理念に掲げておられます。そして社員の大半が外国人という、名実ともにダイバーシティ&インクルージョン企業です。
新井社長、岩城取締役ほかの皆様には、日ごろからEDASの活動に賛同いただき、ご支援をいただいております。
ありがとうございました!
https://www.languageone.qac.jp/


(協賛企業:ランゲージワン)

◆会場:Yahoo! LODGEについて
ご存じの方も多いと思いますが、Yahoo!さんが本社を構える紀尾井町の東京ガーデンテラス紀尾町ビルの17階にあるLODGEは、日本最大のコワーキングスペースです。オープンイノベーションをリードする同社が、共創の場として広く開放しています。デスクやテーブルの形も趣向を凝らしており、ハンモックやキッチンスペース、カフェコーナーもあり、足を踏み入れる人に視覚的な刺激を与えてくれます。スタートアップのミーティングやここを根城に(?)活動するフリーランサーはもとより、平日は日ごろ窮屈な日本の大企業オフィスに飽きたイノベーション指向のビジネスマン/ウーマンと思しき人々の姿も散見されます。ここに集う人々は国際色豊か。今回、第22回を数える外国人政策勉強会は、このYahoo! LODGEのイベントスペースをお借りして開催しました。
https://lodge.yahoo.co.jp/

(会場:Yahoo! LODGE 写真は受付風景)

◆アンケートにいただいたコメント
今後取り上げてほしいテーマとして、以下のようなご意見を頂きました。参考にさせていただきます。
・留学生を主体にして、今の日本の課題について考える
・日本語教育基本法案を巡る動向
・外国人が日本語を学ぶ環境として、日本語学校、日本語教師以外で利用できるものは何かを対話する

以上