レポート:東京入国管理局視察レポート(2017年11月1日)


外国人の受け入れについて日々熱い議論を重ねているEDASですが、在留資格を申請したり不法滞在(オーバーステイ)で出頭したりする窓口となる東京入国管理局の業務を実際に知る機会は多くありません。そこで、EDASメンバーで外国人関連の法律業務に携わる行政書士の長岡由剛が案内人となり、11月1日、東京入管ツアーを実施しました。

14時45分、JR品川駅港南口に集合。東京入国管理局に向かうバスに乗り込もうとすると、「東京入国管理局方面」という日本語での案内の下に、それよりやや小さな字で「Via TOKYO REGIONAL IMMIGRATION BUREAU」と表示してありました。日本に滞在する外国人の国籍上位ランキングを考えると、日本語の漢字、英語を理解する人の割合はどれほどなのでしょうか。多言語対応もしくは簡単な日本語ならわかる人のためにひらがななどで平易に書き換えた「やさしい日本語」での表示が必要なのではないかと感じました。バスの乗客は当然ながら外国人が圧倒的に多く、さまざまな言語が聞こえます。

5分ほどバスに揺られると東京入国管理局に到着です。長岡曰く「朝、バス乗り場付近に警察がいて『在留カードを見せるように』と外国人に言い、オーバーステイを摘発していることがよくある」とのこと。後日、別のメンバーが品川駅を訪れた際、実際に警察官を目撃しました。「手っ取り早く摘発したいのだろうが、もっと他にやるべきことがあるはずでは」(メンバー談)。

まず向かったのは正面玄関の裏手にある「出頭申告者出入口」。ここはオーバーステイの外国人専用の窓口です。通常はなかなかなじみがありませんが、行政書士は仕事柄頻繁に訪れるということでした。これまで一度も退去強制処分を受けたことがない外国人は、オーバーステイとなっても自ら出頭すれば出国命令制度に基づく手続きを取ることができ、その場合日本に再入国できないペナルティーは1年で済みます。正面玄関と別の入り口を設けて出頭を促しているとのことでしたが、建物の中の待合室に入ってみると薄暗く無機質な雰囲気でした。

さて、正面玄関に回り1階に入ると、目立つ場所に「外国人在留総合インフォメーションセンター」があります。ここは入管に提出する書類の書き方や起業時の手続きなど、外国人の在留に関するあらゆる相談に複数言語で対応することになっています。ただ専門家から見ると相談への回答内容に正確性を欠く場合があるのだとか…。そこから少し奥へ行くと「在留資格認定証明書」の交付申請を受け付ける窓口がありました。外国人の入国前に認定を受ける必要があるので、受け入れ側の日本人が主に申請します。多いときは100人くらい待つとのことです。

2階に上がると、既に夕方近いにも関わらずフロアの半分ほどが外国人で埋まっていました。在留審査の申請窓口です。ここは混雑が激しく、4時間待ちもザラではないとのこと。受け付けるのは在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請で、申請から2週間から2カ月ほど後、結果の告知を受けるための通知書が届きます。このほか、同じフロアには「許可」された人が手続きをする窓口や、在留状況が変化したことを報告するための窓口などがありました。実質的に東京入管の「顔」となるフロアだと言えます。3階以上は一般の外国人でも滅多に立ち入ることはありません。難民認定申請を受け付ける窓口、情報開示請求手続きを受け付ける窓口、退去強制事由に該当する人の審判をする部門などがあります。

一通り東京入管内を見終えた後は、品川駅近くの会議室に移動し、長岡による入管法(出入国管理及び難民認定法)のレクチャーを受けました。オーバーステイについては出国命令と退去強制それぞれの手続きの違いや意義、また在留資格に関しては現在就労系の在留資格の中で技能実習に次いで在留人数が多い「技術・人文知識・国際(技人国)」について、実際の入管による審査でどのようなポイントが重視されるのか、在留資格のあり方とともに実務での豊富な経験を基に詳しい解説がありました。

東京入管は撮影禁止の場所が多くあまり写真を掲載できませんでしたが、実際に足を運び専門家に話を聞くとそれまで知識としては知っていてもあまりピンときていなかったことが具体的に理解でき、また新しい発見も数多くありました。EDASは外国人受け入れに関する実務でもそれぞれの分野にエキスパートを抱えており、引き続きこうした勉強の機会を設けていきたいと考えています。(文責:学頭貴子)